木版画とともに用紙として愛用されてきた「越前奉書」の企画展
湿った紙の裏からバレンで加圧して、水性絵具を転写させる木版画の技法には、吸湿性や絵具の吸収性に優れ、肌が平滑で細かく、やわらかな紙質であることが求められ、同時に数十度以上の刷りに耐え得る紙でなければなりません。
発色の良さや強靭さ、保存性の高さなどから、木版画用紙として特に愛用されてきたのが、産地を代表する「越前奉書(えちぜんほうしょ)」。
上質の楮皮で漉かれた厚めの紙で、古くから公家・武家・寺社等の公用紙として重宝されてきました。
楮皮100%で漉かれたものが「生漉奉書(きずきほうしょ)」、楮皮にパルプを混ぜたものが「半草奉書(はんくさほうしょ)」と呼ばれます。また、色奉書、透かし入り、純白のものなどがあり、用途や価格に応じて使い分けされています。
本展では、代々「奉書」を漉いてきた5つの手漉き和紙工房の代表的な紙と、それぞれの工房の紙に刷られた木版画作品(内2点を除く)を同時に展示します。
国内外から評価の高い木版画とともに、用紙として使われる「越前奉書」への関心の高さに応える産地の企画展としてご覧いただければ幸いです。
出展工房(50音順)
■岩野 市兵衛・・生漉き奉書、木版画ほか7点
■佐々木製紙所・・半草奉書、木版画5点
■㈲山喜製紙所・・生漉き奉書、木版画5点
■山口荘八・・生漉き奉書、木版画5点
■㈲山口製紙・・半草奉書、木版画5点